読書感想文:すべて真夜中の恋人たち
小学生までは読書が大好きだったのに、気が付いたらこれっぽっちも本を読まなくなっていた。
でも、結婚して遠方に引っ越して、友達いない・暇すぎる・頭ヤバイということで、
ぽつりぽつりと読書を始めてみた。
いつも本を読んではネットで、他の方の感想を調べてみて、一人で意見交換会をしている。
『あーそういう解釈があるのか』とか、
『こんな風に思って、元気が出た!』とか、
勝手に思うだけで書き留めてこなかったを、今更ちょっぴり後悔。
手書きは続かなそうだし、たまにしか読まないし、どうしようかと思っていたらあっという間に2年以上経過・・・
だから、少しずつ、過去読んだ本を振りかえって、備忘録として残していけたらなぁ、なんて。
そして、もし、こんな陳腐なブログを読んでくださった方のどなたかの心にささって、
同じように何かを思うことがあったのなら、それはとても嬉しいことだと思います。
この本は、偶然見つけました。
そして、川上未映子さんファンになったきっかけの1冊です。
ある日、飲み会の待ち合わせ時間まで十分に余裕があったので、
駅隣接の商業ビルをフラフラフラフラ。
本屋さんに立ち寄り、ふと手に取った本。
“すべて真夜中の恋人たち”ってタイトル。なんだろう、ドキドキ・・・
そして、1ページ開いた1行目の言葉に引き込まれ読み進めると、
もう、その1ページ(プロローグのような印象)の中に書かれている言葉、
どうしようもなくときめいて、立ち読みのたった数秒でうるっとしてしまった。
続きが気になって、そのまま即購入。
待ち合わせの時間までベンチに座って一気に読み進めてしまった。
何回読んだかな、3回位かな。
私は(特に)お気に入りの本は読み返すタイプで、
そうすると、その時々の自分の状態によって感じることが違って面白いんです。
恋人も友達もおらず淡々と日々過ごしていく主人公、
フリーの仕事を通じて出会った、人生謳歌しているキラキラ女性、
偶然知り合ったかなり年上の真面目な男性。
でも実はそれぞれに【裏】の気持ち、姿があって。
主人公は、真面目な年上男性とのぼんやりした恋を通じてその【本当の気持ち】に気づいていくわけだけど。
同時に、その“ふつう”な主人公との出会いを通じて、キラキラ女性も真面目な年上男性も、みんなみんな【本当の気持ち】に気づいていって。
あー、生きていくってこういうものなんだなぁと感じさせされる。
何の気のない言葉が人を傷つけることも、逆に救うこともあって。
友達や知人と呼べる人と比べ物にならないほどの数、毎日たくさんの“人”とすれ違うけど、みんな毎日の主人公は自分なんだよな。
他の人の目に映る私ってどうなんだろう。
どんな奴なんだろう。
いい人?
わがまま?
優しい?
面白い?
きっとどれも本当の私なんだろうけど、自分でも気づかない、あるいは気づかないふりをしている、本当の本当の自分がいるから。
そいつに会うときって結構な衝撃だよね。
それってプライドなのかな?
人生山あり谷ありなんて本当にその通り。
だけど、そういえるのは、谷からなんとか浮上して、結局、谷が成功体験として語れるようになってからなのか。
だから今のつらいことが、山なのか谷なのかまだ分からないけど。
でも、たとえ淡々とでも毎日時間が流れて何か感じることができるのなら、
その時そのまま、その気持ちを受け入れるようにしよう。
色々なぐちゃぐちゃな気持ちになることも、人に・自分に優しくなるためには必要なことだと思うからね。
すべて真夜中の恋人たち。
泣きたくなった時、ちょっと毎日に疲れてしょんぼりしてる時に特に読み返したくなる大切な1冊です。